「見る」と「観る」の違い(悟りの道)その3~意識の構造とは~
前回、無意識を含めた心の構造をトリニティー図(ボロメオの輪、三位一体モデルといってもいいか)として提示しましたが、今回より具体的に説明していきたいと思います。
早速ですが、「心/意識の構造」のモデルを下図 のように提示します。
左下がR:Real(現実界)
上が I:Imaginary(想像界)
右下がS:Symbolic(象徴界)
と名づけることにします(カッコ内は、ラカンの定義で、そこからイニシャルを拝借しました)。
Rは、リアルの名の通り、「自然」「モノ」「存在」とかをさします。私たちが「存在」を対象化すると、やおら「存在者」として意識に出現してきますが、R自体は意識では捉えることができない領域です。従って心/意識の構造としては、「無意識系」と名づけておきましょう。
このRには自己の接する環境(宇宙・自然界の森羅万象や他人)と、自分(心を生み出す肉体・脳=自然の分身たる自分のこと)の2種類があります。
IとSはそれぞれ心の「感情」と「理性」に相当する部分です。以前、前者を「感」、後者を「観」と定義しました。
心/意識の構造は、このR(無意識系)とIとS(意識系)の3つの輪が分かちがたく結びついているようです。結びつくということは、3領域が接触ないし結び目をなす領域があるはずです。これが「ボロメオの輪」の重なり合っている領域です。
このうち意識系の結び目I-S(IとSの結び目なのでI-Sと定義します)は前回定義した「(観)察」にあたります。
初回に、
「①「見る」・・外界や心の内部をじかに「感ずる」
②「観る」その1・・見て感じとったものを「考察する」
③「観る」その2・・心の内部のみで「思念する」
①は、「目で見る」に代表される、五感の感覚、感性の世界、③は、純粋に理性・知性・シニフィアンの世界である。その間の②は、いわば①と③の境界をなすシニフィエの世界なす。心のプロセスの基本は①→②→③と流れるようである。」
と書きましたが、これが、R(外界や心の内部)に接した後、①I→②I-S→③Sと流れるというわけです。
さて、ここからが私のオリジナルなところですが、意識は大変複雑な世界でとてもデジタルに分節化して表せないのですが、敢えてコンピュータの処理プロセスと仏教の「五蘊(色受想行識)」をアナロジーとして持ち込みます。
プロセスはこんなふうになります。
1.「色:現象系」=外部データを入力する(自然界、他人に接する)
「識:想起系」=内部データを読み出す(記憶、知識を想起する、生理欲が起こる)
2.「受:知覚系」=データをメモリに記憶する
3.「想:表象系」=プログラムに従って演算回路で演算を行う
4.「行:判断系」=演算の結果を確定する
5.「色:表現系」=外部へデータを出力する(身・口・意で外へ働きかけを行う)
「識:記憶系」=内部記憶装置へデータを書き込む(経験知として記憶する)
この1~5のプロセスのうち、1および5はRとのやりとりをなすところです。のこりの2から4が意識系そのもののプロセスであり、このプロセス毎に、 ①I→②I-S→③Sの流れが対応しています。これをマトリクス化したものが、図の「意識系」に示したものです。
なお前回、
①対象を知覚、体験、想像し、感情表現する(感じるの世界)
②認知、認識、思考、意味づけをして価値判断する(考察の世界)
③分類、分析、理解して概念・原理化する(観るの世界)
と書いたのは、①~③ごとに上の2~4のプロセスを対応させたものになります。
次回からは、いよいよ「無意識系」「意識系」が接する場である「非意識系」(悟り系?)を説明します。
獅子鷹
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