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ワーグナー 歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕への前奏曲

 ワーグナーはドイツ・ロマン派の巨星で、いわゆる“未来の総合芸術”という一種のユートピア的芸術形態を目指し、個々の芸術要素(音楽、文学、舞踊・・)はドラマ(=楽劇)という総合形態に統合されるべきとしてその実現に奔走した希代の音楽家です。要するに、まず、従来の歌劇は堕落した、器楽音楽はベートーヴェンの第9をもって使命を全うした、個々の交響曲は無価値だと否定し去ります。そして、すべての芸術は、“ドラマ”という目的に奉仕すべきだというのです。これは、大作「ニーベルングの指環」4部作の理論的根拠にもなり、同時代以降の音楽芸術に甚大な影響を与えました。(ドヴォルザークも ブラームスに会うまでは熱烈なワグネリアンで、プラハで上演されるワーグナー物は欠かさず観賞しています)

 とはいえ、この「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、肩の力が抜けたというか、例外的にワーグナーほとんど唯一の大衆的な喜歌劇の部類に入るものです。初稿は、タンホイザー初演の1845年、完成は「指環」や「トリスタンとイゾルデ」などをはさみ約20年後の1867年。1868621日、ミュンヘン・バイエルン宮廷歌劇場でハンス・フォン・ビューローの指揮により初演されました。

 今回採り上げる第一幕への前奏曲は、劇中の主要動機が明確なかたちで要約されており、この歌劇全体の戯曲的構成が見事に織り成されています。

獅子鷹

 

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