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今年の漢字は「変」

恒例の1年の世相を漢字1文字で表す2008年「今年の漢字」が「変」と決まったそうである。なんでも「change(変革)」を訴えたオバマ氏が次期米大統領に選ばれたことや、日本の首相がせわしなく短期間で交代したことなどのほか、サブプライムローン問題に端を発した世界経済の大変動などが理由だそうである。

「変革」への渇望、「変化」疲れ、「変てこりん」な世相といったところか。

でも、昨年の「偽」のようにストレートに納得するインパクトが足りないようにも思う。なんというか、「変」は実はいつでも身近にあるようなあたりまえの事態だからか。そう物事は常に「変わって」いるのである。

ご承知のように、ものはすべて振動している。今年のノーベル賞受賞理論「対称性の破れ」により誕生したとされる宇宙内にあって、動いているものは動いているし、静止しているものの実は振動しているという意味で動いている。場合によっては、化学変化を起こしたり核分裂を起こしたりと大変である。つまり、すべてのものは変化してやまないのある。

ものの変種?である人間とて例外ではない。そもそも生まれて死ぬ。その間成長期もあるが、老いたり、病んだりとなにかと忙しい。細胞も日々刻々と生滅を繰り返す。アンチエージングなることばがあるが、これほど人間の願望に訴えることばもない。不老長寿は不可能だからこそ憧れとなる。だが、今年の漢字「変」を前にして脆くも崩れ去るしかないのですねえ。

その人間のこころ・意識もおして知るべし。なにしろ「ころころ」と変化しまくるのが「こころ」の語源すからねえ。

獅子鷹

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今年の漢字は「偽」

2007年の世相を表す「今年の漢字」に「偽」が選ばれた。老舗ブランドの相次ぐ原材料偽装、賞味期限偽装などの発覚や泥沼の年金問題などが理由という。庶民的には至極納得のいく結論ではある。しかし、よくよく考えてみると、あの雪印事件だって同じ偽装事件である。今年発覚した企業も知らぬわけがあるまい。本来ならいつでも襟を正せたわけである。「他山の石」という教訓は絵空事ということか。これでは、「悪いことをしてもばれなければいい」というのが人間の常識ということになる。。そしてばれたら「悪いやつだ、許せん!」「す、すいません」そして、沈静化したら、またぞろ。。

とはいえ、悪いことはしていないという人ももちろんいる。「悪いやつだ、許せん!」と多くの人が思う。多数派であろう。正しいことをしていればOKで悪いことをしたらNGということか。では「正しい」とか「よい」とはどんなことか。「悪い」とはどんなことか。皆さん、答えられますか?

そもそも「偽」という字は「人」が「為す」あるいは「人」の「為に」と分解できる。なんと、人が「ために為す」ことはすべて「偽」というのである。したがって、「よい」と思ってしたことも、「悪い」と思ってしたこともすべて「偽」!!「よい」と思ってしたこともなんで「偽」なのか。これはいったいどういうことか。

「為」の意味を広辞苑で引くと、①利益、幸福②目的・・とある。人間生きていくために、これらは通常欠かせない。しかし、これらの「現世の利」目当てに為す行動は「偽」というのである。つまり「有為」の行動は「偽」。なんという洞察力。日本の漢字は本当に味わい深い。

ではどうしたらよいか。

ロジカルには、有為の反対「無為」。宗教的には善悪の彼岸。つまり現世的な「利」なるものを求めないということになる。ちょっと思いついただけでも、有為の利には「権利」「便利」「金利」などたくさん出てくる。現代はこれらの利の追求は「善」となっているのだ。しかし、これらは「偽物」と喝破されているのである。この意味を洞察することから、「ほんとうのこと」が明らかになってくるのである。

では偽物でない本物の利は・・・これを「冥利」という。最近は「求めない」という信州伊那谷の老子さんの本も話題になっている。

今回揮毫した京都清水寺の森貫主は「己の利ばかりを望むのではなく、分を知り、自分の心を律する気持ちを取り戻してほしい」と話されたとのこと。

つまり、「己の利」=有為の利ばかりではなく、「分(自然の分身たる自分)」=無為の利を知り、これに基づき「自分の心」を律せよ。

至極まっとうな言葉である。

獅子鷹

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